2019・5・14

石村良子代表 「頼春水から辛島塩井宛て書状」人物紹介

 

頼春水(62歳)から辛島才蔵(53歳)への手紙 文化482

 

頼春水 頼山陽の父、広島藩儒。

辛島才蔵は熊本藩儒。

柴野栗山は讃岐国の人。儒官。寛政の三博士の一人

高本紫溟(しめい)は肥後細川藩・御備頭組御留守居大頭組。

     代々医を業とし、先祖は朝鮮王の庶族で李姓であった。

藪慎庵は肥後熊本藩士。 

堀田正睦は老中首席

浅野重晟は広島藩主 広島藩中興の祖。

 

2019・5・12

石村良子代表 「頼春水から辛島塩井宛て書状」書き下し文

 

書き下し文

五月(さく)貴書家弟千(きしょかていせん)(れい)持ち帰り

 

去る(さる)六月拝(ろくがつはい)閲仕(えつつかまつ)り候 先ず(まず)()って尊家(そんけ)

 

御安適賀(ごあんてきが)奉り(たてまつり)(そうろう) (まこと)(せん)(れい)

 

()()(もん)両人(りょうにん)西遊(さいゆう)推参(すいざん)仕り(つかまつり)候状(そうろうじょう)

 

(つまびらかに)御示し(おしめし)下され(くだされ)感心(かんしん)奉り(たてまつり)(そうろう)

 

(その)上両人面話(うえりょうにんめんわ)にも くわしく

 

(これ)承り(うけたまわり)万々(ばんばん)辱く(かたじけな)存じられ(ぞんじられ)(そうろう) 数々御(かずかずご)

 

厚遇(こうぐう)成され(なされ)(そうろう) 小生(しょうせい)御同様(ごどうよう)

 

思し召し(おぼしめし) 甚だ(はなはだ)以って(もって)御深切(ごしんせつ)御取り扱い(おとりあつかい)

 

小生(しょうせい)においても欣戴(きんたい)仕り(つかまつり)(そうろう) 別して(べっして)

 

尊藩(そんぱん)(しょ)(ろう)宿(しゅく) 残らず(のこらず)御面(ごめん)

 

接下(せつくだ)され(そうろう)(よし) 高本(たかもと)先生(せんせい)

 

中疾(ちゅうしつ)御接待(ごせったい)拝謝(はいしゃ)堪えず(たえず)(そうろう)

 

尚々御序(なおなおおついで) 各位御謝(かくいおんしゃ)

 

下さる(くださる)べく(そうろう) (みぎ)両人(りょうにん)長崎(ながさき)其外(そのほか)

 

歴遊(れきゆう)残らず(のこらず)かねがね存込候(ぞんじこめそうろう)通り(とうり)

 

()(ねん)なく相済(あいすま)満悦(まんえつ)至極(しごく)

 

仕り(つかまつり)(そうろう) 小生(しょうせい)()(なお)其地(そのち)歴候(れきそうろう)

 

(よう)存じ(ぞんじ) 病後(びょうご)(いち)(らく)これに過ぎず(すぎず)

 

存じ(ぞんじ)奉り(たてまつり)(そうろう) 是迄諸人径歴(これまでしょにんけいれき)

 

候事(そうろうこと)(そうろう) 巨細共承伝候(きょさいともしょうでんそうろう)

 

(こと)には御座候(ござそうらえ)(とも) ()(てい)覿面(てきめん)

 

領畧候事(りょうりゃくそうろうこと) 欣然(きんぜん)堪えず(たえず)(そうろう)

 

此段(このだん)御察し(おさっし)下さる(くださる)べく(そうろう) (さて)(また)江戸(えど)

 

(しょ)(ろう)(こと) 追々(おいおい)御聞き成され(おききなされ)(そうろう)

 

末弟万四郎(まつていまんしろう)()(とう)四月(しがつ)

 

出立(しゅったつ)五月(ごがつ)廿(にじゅう)一日帰邑(いちにちきゆう)仕り(つかまつり)(そうろう)(ゆえ)

 

(きょ)年来(ねんらい)(こと) (これ)(また)如月(きさらぎ)

 

之を撃年候 (さい)(おう)は風後(はふうご)

 

栗山(りつざん)称され(しょうされ)(そうろう)(ども) (ふう)()()

 

申さず(もうさず)(そうろう)(よし) 去書(きょしょ)ながら病気(びょうき)

 

申立候(もうしたてそうろう)(たん)(しゅう)城崎(きのさき)入湯(にゅうとう)

 

願書(がんしょ)のさしもつれ(そうら)(ども)

 

相調(あいととの)(そうろう)(よし) (いま)(ほど)入京(にゅうきょう)(きこ)

 

申し(もうし)(そうろう) (その)(ほか)蝦夷(えぞ)()追々(おいおい)

 

(あい)聞え(きこえ)申す(もうす)べく(そうろう) 虚実(きょじつ)紛々(ふんぷん)には(そうら)(ども)

 

何分堀田庚仰付(なにぶんほったこうおおせつけ)られ

 

(みぎ)(つき) 大目付(おおめつけ)御目付其外共(おめつけそのほかども)

 

夥敷(おびただしく)其地(そのち)罷越(まかりこ)され候所(そうろうところ)(この)

 

(せつ)異船(いせん)(かい)()(もうす)(こと)

 

少々(しょうしょう)干戈(かんか)及び(および)(そうろう)() (しょう)(へい)

 

瑕鐘恐入候事(かしょうおそれいりそうろうこと)(ども)存じ(ぞんじ)奉り(たてまつり)(そうろう) 小生(しょうせい)

 

(はなはだ)以って(もって)損気(そんき)色々(いろいろ)老後(ろうご)

 

(ねん) 彼地(かのち)罷り越し(まかりこ)雑兵(ぞうひょう)(あい)

 

(くわ)わり(そうろう)にも一揮(いっき)仕りたく(つかまつりたく)存じ(ぞんじ)奉り(そうろう) 何分(なにぶん)

 

夷狄(いてき)情渇(じょうかつ)すべからず(そうろう) 追々(おいおい)

 

解耗(かいもう)有る(ある)べく御座候(ござそうろう) (まず)(せん)(れい)

 

()()(もん)罷り越し(まかりこし) 数々(かずかず)御取(おんとり)持下(もちくだ)され(そうろう)

 

御一謝(ごいっしゃ)申上(もうしあげ)たく早々(そうそう)かくのごとく御座候(ござそうろう) (せん)齢事(れいこと)

 

当地(とうち)六月(ろくがつ)十三日(じゅうさんにち)(うま)時帰(どきき)

 

着五(ちゃくご)六日(ろくにち)罷り(まかり)在り(あり)故郷(ふるさと)()

 

帆仕り(はんつかまつり)(そうろう) 其後(そのご)随分(ずいぶん)無事(ぶじ)

 

安着(あんちゃく)罷り(まかり)在り(あり)候段(そうろうだん) 申し(もうし)(そうろう)御地(おんち)

 

今以って(いまもって)謝状(しゃじょう)得上げ(えあげ)申さず(もうさず)やと

 

存じ(ぞんじ)奉り(たてまつり)(そうろう) (まず)小生(しょうせい)より御礼(おんれい)

 

(など)かくのごとく御座候(ござそうろう) (なお)後便(こうびん)期し(きし)(そうろう)

 

頓首(とんしゅ)

 

 八月(はちがつ)二日(ふつか)(したため)置く(おく)

 

(おっ)(この)節土州(せつとしゅう)(いち)書生(しょせい)

 

敝塾罷(へいじゅくまかり)在り(あり)(そうろう) (これ)西遊相(さいゆうあい)

 

希い罷り(ねがいまかり)在り(あり)(そうろう) 長崎(ながさき)のみ罷り(まかり)越候(こしそうろう)申すべく

 

や尊邑(やそんゆう)歴邑候(れきゆうそうら)()()(また)(しか)るべく

 

御引立て(おひきたて)下さる(くださる)べく(そうろう) (たのみ)奉り(たてまつり)(そうろう) (これ)

 

九月(くがつ)にも及び(および)申す(もうす)べく(そうろう)

 

(やぶ)慎庵先生(しんあんせんせい)御書(おんしょ)(こと)

 

(たのみ)奉り(たてまつり)(そうろう) 真跡(しんせき)下され(くだされ)(そうろう)には及び(および)申さず(もうさず)(そうろう)

 

石摺(いしすり)成候(なりそうろう)(よう)摸写(もしゃ)

 

御越下(おこしくだ)され(そうろう)へば水戸(みと)遣したく(つかわししたく)(そうろう) (この)()

 

御留(ごりゅう)(ねん)下さる(くださる)べく(そうろう)

 

  1. 扨又稿二萹請正候所(さてまたこうにへんせいしょうそうろうところ) 御称(ごしょう)

    譽下(よくだ)され汗顔(かんがん)堪えず(たえず)(そうろう) (この)(せつ)

    覆講(ふこう)輪講(りんこう)愛説(あいせつ)同様(どうよう)

    もの稿本(こうほん)仕り(つかまつり)(そうろう) 未だ(いまだ)脱稿(だっこう)せず又々(またまた)

    稿正候(こうせいそうろう)(よう)仕りたく(つかまつりたく)(そうろう)

     

  2. 安帋(あんし)(しょ)御間適(ごかんてき)企羨(きせん)堪えず(たえず)(そうろう)  間適:静謐な心境を述べた言葉

       (せん)(れい)などへ同方(どうほう)は参らずと申し候 小生は

       是のみ(うらや)ましく存じ奉り候 (そん)(じゅう)も候て   尊什:漢詩

       御示下(おしめしくだ)され(そうろう) 小生宿痾(しょうせいしゅくあ)(いま)()へず(そうら)(ども)

       先々(まずまず)斯様(かよう)()(しょ)(へん)御出退(ごしゅったい)仕り(つかまつり)(そうろう)

       ()(くん)在国候(ざいくにそうら)へば一入(ひとしお)多事(たじ)罷り(まかり)在り(あり)(そうろう)

       (これ)(もと)より(こう)会所(かいしょ)

       (あい)替らず(かわらず)諸儒(しょじゅ)へ□られ候て多事に

    御座候(ござそうろう) 近年は追々詩文解され

    候故 当世(とうせい)作共受過(さくどもじゅか)少々は

    意味も御咀嚼候(ごそしゃくそうろう)(よう)に候 小生(しょうせい)においても

    相悦(あいよろこ)び申し候 万四郎(まんしろう)(べっし)て其返事

    多務(たむ)罷り(まかり)在り(あり)(そうろう) 御同志(ごどうし)えの御義(おんぎ)(ゆえ)

    (これ)(など)にも及び(および)申し(もうし)(そうろう) (ほか)にも御沙汰(ごさた)()

    無用(むよう)(くだ)さるべく候

     

    辛島(からしま)才蔵(さいぞう)(さま)   (らい)弥太郎(やたろう)

     

 

2019・5・11

石村良子代表

「頼春水から辛島塩井宛て書状」

 

以前、ご紹介した齊藤家巻物から、文化3年(1806)8月2日頼春水(62)が辛島塩井(53)に宛てた書状をご紹介する。おそらく公開は初めてだろう。頼家と辛島家の交際を知る貴重な内容である。原文、書き下し、解説と、今後順次掲載予定。

書状の冒頭部分
書状の冒頭部分

原文

五月朔 貴書家弟千齢持帰

去六月拝閲仕候 先以尊家

御安適奉賀候 誠ニ千齢

儀右ェ門両人 西遊推参仕候状

審ニ御示被下 奉感心候

其上両人面話ニもくハしく

承之万々辱被存候 数々御

厚遇被成候 小生御同様

思召 甚以御深切之御取扱ひ

於小生欣仕候 別而

尊藩諸老宿 不残御面

接被下候由 高本先生ハ

中疾御接待 不堪拝謝候

尚々御序 各位御謝

可被下候 右両人長崎其外

歴遊不残カ年々存込候通

無遺年相済 満悦至極

仕候 小生も身猶歴其地候

様ニ存 病後之一楽不過之

奉存候 是迄諸人径歴

候事ニ候 巨細共 承伝候

事ニハ御座候へ共 家弟覿面

領畧候事 不堪欣然候

此段御察可被下候 扨又江戸

諸老之事 追々御聞可成候

末弟万四郎義当四月

出立五月廿一日帰邑仕候故

去年来之事 是亦如月

撃年之候 柴翁ハ風後

栗山と被称候へ共 風気ハ見へ

不申候由 乍去書病気

申立候而 但州城崎へ入湯

之願書のさしもつれ候へ共

相調候由 今程ハ入京と聞へ

申候 其他蝦夷之儀追々

相聞可申候 虚実紛々ニハ候得共

何分堀田庚被仰付

右ニ付大目付御目付其外共

夥敷其地へ被罷越候所 此

節ハ異船も回帆と申事

少々及干戈候儀升平之

瑕鐘恐入候事共ニ奉存候 小生ハ

甚以損気色々老後之

念 彼地へ罷越雑兵ニ相

加候ニも一揮仕度奉存候 何分

夷狄之情不可渇候 追々

解耗可有御座候 先ハ千齢

儀右ェ門罷越数々御取持被下候

御一謝申上度 早々如此御座候 千齢事

当地へ六月十三日午時帰

着五、六日罷在故郷へ帰

帆仕候 其後も随分無事

安着罷在候段申候 御地

今以謝状も得上ケ不申哉と

奉存候 先ハ小生より御礼

等如此御座候 尚期後便候

頓首

八月二日認置

追而此節土州之一書生

敝塾罷在候 是も西遊相

希罷在候 長崎のミ罷越可申

哉尊邑へ歴邑候ハゝ又可然

御引立可被下候 奉頼候是ハ

九月ニも及可申候

藪慎庵先生之御書之事

奉頼候 真跡被下候ニハ及不申候

石摺ニ成候様ニ摸写し

御越被下候へハ水戸へ遣し度候 此義

御留念可被下候

  1. 扨又稿二萹請正候所御称

            譽被下不堪汗顔候此節も

覆講輪講愛説同様之

もの稿本仕候未脱稿又々

稿正候様仕度候

  1. 安帋所御間適不堪企羨候

         千齢なとへ同方ハ不参と申し候小生ハ

   是のミ羨敷奉存候 尊汁も候て

   御示被下候小生宿痾未癒候へ共

   先々斯様之御書返御出退仕候

    寡君在国候へハ一入多事罷在候  寡君:若殿様 

           是も依舊講会所不

      相替諸儒へ被□候て多事ニ

 御座候近年ハ追々被解詩文

 候故当世之作共受過少々ハ

 意味も御咀嚼候様ニ候於小生

 相悦申候 万四郎ハ別而其返事

 多務ニ罷在候 御同志江之御義故

 是等ニも及申候 外二も御沙汰ハ御

 無用可被下候

 

辛島才蔵様   頼弥太郎

 

32歳ころの真筆とのこと。

京都に居を移した直後であろうか。

この時期の書(若書き)は珍しいとのこと。箱書きは頼潔。70万円。

 

 

2019・4・27

「なんでも鑑定団」に頼山陽の書

 

テレビ東京「なんでも鑑定団」に頼山陽の書が出された。


ホームページ編集人  見延典子
ホームページ編集人  見延典子

 

「頼山陽と戦争国家

国家に「生かじり」された 

ベストセラー『日本外史』

『俳句エッセイ 日常』

 

『もう頬づえはつか      ない』ブルーレイ

 監督 東陽一

 原作 見延典子

※当ホームページではお取扱いしておりません。

 

 紀行エッセイ

 『私のルーツ

 

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