見延典子が書いています。

2022年 岩波文庫
2022年 岩波文庫

2025・10・13

揖斐高『江戸漢詩の情景』

 

発行者による作品情報

「江戸の人びとにとって、漢詩文は,自らの存在を伝統的な美意識の世界と結びつけるものであると同時に、日々の暮らしにおけるさまざまな想い,悩み,人生の悲喜こもごもを記すための身近な表現手段でもあった。具体的な作品を読み解きながら、人びとの感情や思考のあり方を広く掬い上げて、詩の奥深い魅力へと迫る随想集」


 頼山陽の造語「山紫水明」について、また「漢詩人の経済」として山陽の収入に関する考察がある。塾経営のほか「旅猿」として揮毫で収入を得て、家まで建てた山陽。『日本外史』の写筆料や諸藩での講席料など、堅実に生きた山陽の懐事情が、具体的な数字で示されている。