そこで久保寺さんに「春水が真斎に宛てて書いた『御存之座敷之上ノ間」が出ている書状なら考えてもいいですよ」と返事をした。
脱藩した山陽が押しこめられた屋敷内の一室について、春水が言及した一次資料だが、『山陽全伝」に活字が載っているだけで現物は確認されていない。そのためある方から「ないものをあるもののように書いただけではないか」などとまで言われていた。
まったく期待していなかった。冗談半分で返信しただけである。
だがほどなく久保寺さんから返信があった。「ありました」
しかもまさに『御存之座敷之上ノ間」の部分の写真まで添付されている。
「え、えーッ‼‼‼」と見延は絶叫に近い悲鳴をあげて飛びあがった。
続きます