2016・7・7 進藤多万さん「頼山陽の漢詩 読みと訳」
「埋蔵文化財センター 第40回企画展」で展示される「頼山陽の書」に書かれている漢詩の解釈です。こちらが『山陽詩鈔』に掲載の決定稿であり、展示のものとは語句の違いが見られます。参考になさってください。
今春迎母京寓 屬親信舟護而來 竢之津上浹旬 阻風雨不時至
今春 母を京寓に迎ふ 屬(たまた)ま親信ありて 舟護りて來たると 之を津上に竢つこと浹(せふ)旬(じゆん)風雨に阻まれ時に至らず
待母津城對短檠 母を津(しん)城(じやう)に待ち 短檠(たんけい)に對す
四簷點滴徹明鳴 四(し)簷(えん)の點滴 明に徹して鳴る
茫茫赤石與兵庫 茫茫たり 赤石と兵庫と
何處蓬窻聽此聲 何(いづ)處(こ)の蓬窻に 此の聲を聽かん
【語釈】
*文政七年(一八二四)、山陽四十五歳の作。
[浹旬]一旬、十日間。
[津城]津の国、摂津の国、大坂。
[短檠]短い燭台、低いあかり。
[四簷]「簷」は、のき。
【訳】
今春 母を京寓に迎えた たまたまみずから手紙が来て 舟が護って来るとのこと これを港近くで待つこと十日 風雨に阻まれてまだ来ない
母を大坂にて待ち 短かくなった燈火に向き合う
四方の軒からの雨だれが 明け方までずっと鳴っている
茫茫と霞んでいる 赤石と兵庫は
どこの舟の蓬窻で この音を聞いておられるか
2016・7・6
取手市 埋蔵文化財センターさん
「埋蔵文化財センター
第40回企画展で頼山陽の書」
平成28年7月19日(火曜日)から始まる「埋蔵文化財センター 第40回企画展」で頼山陽の書が展示される。
埋蔵文化財センターのホームページによれば、「文政7年(1824)、戸頭村の海老原喜右衛門は、四国の金毘羅参りの帰り道に、京都に学者として名高い頼山陽を訪ね、父への土産として山陽の書を入手しました。道中の詳細は不明ながら、この時の山陽の書は軸装されて現在まで伝わっています」とある。
このエピソードは徳冨蘇峰著『頼山陽』にも書かれ、解読文も掲載されている。頼山陽の一面が垣間見えるようである。
企画展は9月23日(金曜日)まで。
詳しくは埋蔵文化財センターのホームページへ
※取手市埋蔵文化財センター様にお願いして、頼山陽ネットワーク公式ホームページのために、「山陽の書」のデータを送っていただきました。
ありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。