見延典子が書いています。

2021・8・29 4元中継、オンラインで頼山陽

 

 すでに告知していたように、8月28日「第12回アジア学者国際大会(ICAS)」で、頼山陽についての座談会がオンラインで行われた。

 

 テーマは「The Legacy and Times of Sanyo Rai: The nexus of history and historiography in Robert Tuck’s forthcoming Nihon Gaishi translation.」(頼山陽の遺産と時代。ロバート・タックが翻訳を予定している『日本外史』における歴史と歴史学の結びつき)

 ニューヨークにいるベッテイーナ・オカ上智大学教授の司会進行により、『日本外史』の全文英訳に取り組んでいらっしゃるアラスカ在住のロバート・タックアラスカ大学教授からお話を伺った。

 

 また広島にいるジョンさん、山口さん、上口さん、見延は、頼山陽や『日本外史』との関わりを語った。京都の精華大学が主催なので、ニューヨーク、アラスカ、広島、京都の4元中継ということになる。

 

 座談会は英語で行われるということで、ジョンさん、山口さん、上口さんのご協力のもと、高校時代の受験英語以来のトレーニングを重ねてきた。細かなミスはあったが、ベストは尽くした。皆さん、ありがとう!

2021・8・10

会員希望者さん「8月の催しにZoomで参加したい」⇔ 見延典子

 

8月の外国人による漢詩人についての催しをZOOM受講できましたら幸いです。ご検討をお願いいたします。

特訓中
特訓中

 会員希望者さんへ

お尋ねの件は8日付けで紹介した「第12回アジア学者国際大会(ICAS)」についてかと思います。説明が足りず申し訳ございません。

 

アジア学者国際大会は2年に一度行われる会議で、今年度は日本で行われ、京都精華大学の主催です。これに参加するにはICAS(京都精華大学)に登録の申し込みをする必要があります。申込者は座談会出席者やブックプライズの応募者が大半と思いますが、ホームページを見ると、一般の方も参加できるようです。

 

ただ、登録料として想像より高い金額を納付する必要があります。納付すれば、私たちの座談会(8月28日13時~14時)はじめ8月24日~28日のすべてのプログラムをZoomで視聴し、参加し、発言もできます。但し、すべて英語で行われます。

 

また私たちに座談会は頼山陽の「日本外史」に関しての議論を予定しており、漢詩人としての頼山陽については触れません。

 

以上でよろしければ、以下のICASのホームページをご覧ください。

The 12th International Convention of Asia Scholars Kyoto, Japan

 

尚、私も参加者の一人に過ぎません。登録、その他に関してはICAS(京都精華大学)との間の契約になります。よろしくお願い致します。                

                          見延典子

 

座談会は英語で行われる。英語の特訓中
座談会は英語で行われる。英語の特訓中

2021・8・8 

第12回アジア学者国際大会

 

Hiroshima Historiographersの有志が、第12回アジア学者国際大会、8月28日に行われる座談会への参加を予定している。


座談会のテーマは「The Legacy and Times of Sanyo Rai: The nexus of history and historiography in Robert Tuck’s forthcoming Nihon Gaishi translation.」(頼山陽の遺産と時代。ロバート・タックが翻訳を予定している『日本外史』における歴史と歴史学の結びつき。)

 

座談会の参加者(6名)

 Hiroshima Historiographers主催者のジョン・メーシング氏

 のロバート・タックアリゾナ大学教授

 ベッティーナ岡上智大教授

 Hiroshima Historiographersメンバーの上口雅彦さん

 同山口ヨシアキさん

 見延典子

国際アジア学者会議(ICAS)は、世界中の学者、文化、市民の俳優が、アジアと「アジア研究」に関する新しい洞察を学際的な、セクターを超えた文脈で議論し、共有するための隔年の会議プラットフォームです

約65カ国の参加者を集め、学問分野と地理的分野の境界を超えたアジアに関するグローバルな対話を行います。第12回国際アジア学者会議(ICAS 12)は、2021年8月24日から28日までオンラインで開催されます。

  ※同会議参加は有料。登録者だけが視聴、参加できる。

 

パソコン、スマホ、いずれでもOK。半数以上は日本人なので、困ったときは日本語で。
パソコン、スマホ、いずれでもOK。半数以上は日本人なので、困ったときは日本語で。

2021・5・13

 オンライン 英語で「江馬細香」

 

 昨日、ご案内した「オンライン、英語で江馬細香」が行われた。参加者は10名。順番に英文を読み、メイシング氏の説明を聞き、意見を述べ合うという流れ。


 見延は高校で習って以来、英語は話したことがない。単語力がないのが致命的。こんな私でも参加している。ご参加の皆様の寛大さに感謝!

 次回(5月19日)からは新しい論文に挑戦とか。

 

2021・5・12

 オンライン 

英語で「江馬細香」のご案内

 

4月15日付けでご紹介した江馬細香に関する論文を5月12日、19日、26日(いずれも水曜日、6:00 - 8:00 p.m.)に限り、オンラインで学びます。

江馬細香(手前)
江馬細香(手前)

 頼山陽が細香の漢詩をどのように添削したかをジエンダ一の視点から考察した興味深い内容です。

 この講座に御参加したいという方は、本ネットワーク会員様に限り、招待メ一ルを送りますので、ご連絡ください。尚、オンラインで学ぶのは論文の後半部分、講義は英語(講師はジョン・メ一シング氏)で行われます。

 

2021・4・15

英語で「江馬細香」

 

Hiroshima Historiographersの勉強会で、Maari Nagase氏の江馬細香に関する論文を読みはじめた。

講師はジョン・メ一シング氏。

 

江馬細香研究家の門玲子氏が細香の漢詩を集めて編んだ『湘夢遺稿』は1998年にコロンビア大学出版部から「Breeze Through Bamboo」(竹林をわたる微風、英訳は翻訳家佐藤紘彰氏)のタイトルで出版され、アメリカの政府機関である日米友好協会から翻訳文学賞を受けている。女性が書いた漢詩という点で注目されたのだろうが、日本人でさえ敬遠する漢詩の見直しがアメリカで行われていた点は興味深い。

 

論文執筆者はOkazaki Mari。

論文名は「“Truly, they are a ladys words”: Ema Saikō and the

Construction of an Authentic Voice in Late Edo Period Kanshi(江馬細香と江戸後期の漢詩おける構成と正統な声)」


2021・5・6

渋沢栄一+W.グリフィス=頼山陽

 

渋沢栄一の生涯をまとめた伝記資料によれば、1927年(昭和2)6月、渋沢栄一は再来日したW.グリフィス(ボストン市立図書館の壁面に頼山陽の名を刻することを推薦した人物)へと会談し、頼山陽についても触れている。伝記資料第35巻p8-12 竜門雑誌 第四六五号・第八四―九一頁 

 

グリフイス博士「今お話を伺ひまして、日本の進歩に驚くばかりであります。私は歴史家を以て自ら任じ世界の文明史を研究して居りますが、日本のものは世界に比類がない程であります。植物でも春が来れば現れますが、それには早く土地が準備をして居るからであります。日本の進歩したのも、往古菅原道真とか頼山陽とかの文学があり、文明の素地を為して居つたからであります。曾てボストンで五百万弗を投じた図書館が出来た時、世界の文明に功献した人々の名前を刻んで置くことになり、私も委員の一人に選ばれましたので、日本の人も入れて欲しいと云ひ、道真と山陽の二人の名前を加へる事になりました。故に私が生きて居る間にワシントンへ左様なものが出来るやうになりましたなら、そこへ世界の財政家の名前を刻ませるやうにし、其時は必ず子爵のお名前を入れる様に、推薦し度いと思ひます」

渋沢栄一子爵「道真は一千年以上も昔の人でありますから、歴史によつて知るに過ぎませんが、正しい国を愛する情の深い人で、末路が不幸に終つた。即ち藤原時平に倒されたので、一般から同情せられて居りまして、それが為め一層名高くなりました。実に国を愛し、君に忠であつたさまは賞讃すべき人であります。又山陽は世界のことを知る学者ではないが、日本の国体を知り、日本の歴史に詳しく、日本政記・日本外史等を書いた人でありまして、父春水も学者であります其の書いた説が尊王論であつたから、明治維新の根本を為したと云はれて居ります。貴方の御選定は両者共、適当であつたと非常に嬉しく感じます」

 

 

勉強熱心な外国人の皆さん
勉強熱心な外国人の皆さん

広島城では、学芸員による解説があり、江戸時代の史跡としてのみならず、明治以降軍都として栄えた広島の歩みも学びました。このグループの皆さんは、平均的な広島人より、広島の歴史にくわしいのでは?

 

2021・3・15

広島城へ

 

日本や広島の歴史を学ぶHiroshima Historiographersの有志11名が

14日、広島城を訪ねました。

学芸員による解説にも熱心に耳を傾ける
学芸員による解説にも熱心に耳を傾ける

2021・3・11 和歌の英訳、和訳

 

頼山陽が脱藩した際、母の梅が詠んだ和歌「思うことなくて見ましやとばかりに後の今宵ぞ月に泣きぬる」。上智大学教授のベッテイナ・オカ氏は以下のように英訳している。

 

思うことなくて見ましやとばかりに後の今宵ぞ月に泣きぬる

 

Under the moon

of the thirteenth night

(of the ninth month)

tears pour down

when the unforeseeable happens.

 

これをさらに和訳のソフトに入れると、次のように出てくる。

 

月の下で

十三夜

泣き落ちる

不測の事態が起きると

 

 

2021・2・26

英語で「頼山陽の母」

 

Hiroshima Historiographersの勉強会で、上智大学教授のベッテイナ・オカ氏の論文「頼静の多重ネットワーク」が始まった。頼静は山陽の母で、号は梅(ばいし)。江戸時代に生きたこの女性のいったいどこに、外国人は惹かれるのだろうか。会場は国際会議場3階研修室(広島市の平和公園内)。毎週水曜日16時~と18時~のクラスがあり、講義は英語で行われる。講師はジョン・メ一シング氏。参加費無料。見学だけでもOK。

 

講義用のプリント。パワーポイントも。
講義用のプリント。パワーポイントも。

『日本外史』上海版、銭子琴の序文。  ネットから
『日本外史』上海版、銭子琴の序文。  ネットから

2020・12・3

副島種臣と『日本外史』②

 

ネットで副島種臣を調べているとき、「副島種臣と銭子琴」という項目が目に入った。 銭子琴は『日本外史』上海版の出版に関わった人という記憶があるが、詳しいことは知らない。クリックすると、島善髙氏という早稲田大学社会科学総合学術院教授の論文が出てきた。それによれば、子琴は日本にも滞在したことのある清人で、医者を生業としていたらしい。1879年(明治12、光緒5)『日本外史』に評点を加え、上海で出版したという。


ただ、実際に『日本外史』上海版の翻刻をした当事者は「東本願寺上海別院」であったとも書かれている。にもかかわらず「東本願寺上海別院」という名称が『日本外史』上海版に書かれていないのは、「1873年に締結された日清修好条規には日本の僧侶が布教をする権利は規定されていなかったから」だそうである。『日本外史』は布教と結びつけられていたのだろうか。(この項続きます)

 

副島種臣(そえじまたねおみ)[1828~1905]政治家。佐賀の生まれ。尊王運動に奔走。明治政府の参与となって政体書の起草や版籍奉還に尽力。征韓論を主張して下野。のち、枢密顧問官・内務大臣を歴任。( デジタル大辞泉より引用、肖像写真はネットより借用)

2020・12・2

副島種臣と『日本外史』

 

ある方から「副島種臣と『日本外史』の関係がネットに出ていたよ」と教えられ、さっそく検索する。

なるほど、清国との正式国交を希望していた明治政府から特命全権大使に任命された種臣は、1873年(明治6)清国に渡り、穆宗同治帝と単独謁見。この際、丁韓良(アメリカの宣教師、教育家のテイラー。丁韓良は中国名)から『格物入門』『化学初階』等数部の贈呈を受け、副島は『日本外史』を呈して酬いた、と書かれている。


思わぬところでまたアメリカ人が出てきた。とともに『日本外史』がこんな形で清国に渡ったことも初めて知った。『日本外史』はやがて上海版が出版される。次回はそのことについて紹介したい。

 

2020・11・28

菅公一千年祭紀念碑

 

本欄の11月7日付けで書いているようにタック先生の菅原道真論を、先日読み終えた。

直後、いっしょに論文を読んでいた方から、平和公園近くの天満神社に「菅公一千年祭紀念碑」が建っていることを教えられる。

道真は903年(延喜3)に没し、千年後の1903年(明治36)に一千年祭を迎えた。ネットで検索すると、全国にはかなりの数の「菅公一千年祭紀念碑」が建てられいることがわかる。いったいこれは何を意味しているのだろうか? 

 

菅公一千年祭紀念碑   ネットより
菅公一千年祭紀念碑   ネットより

頼山陽史跡資料館のロビ一
頼山陽史跡資料館のロビ一

演題は「世界文学としての日本外史」で、頼山陽の『日本外史』を紫式部の『源氏物語』と比較し、世界に受け入れられていった状況について語っている。流暢な日本語に圧倒される。講演時間は約20分。視聴は無料。但し、別途入館料が必要(会員、65歳以上は無料)

 

2020・11・21

ロバート・タック氏の講演

 

11月3日に行われた頼山陽シンポジウムでテーマ講演を行ったアリゾナ州立大学助教授ロバート・タック氏の講演内容を頼山陽史跡資料館のロビーで見ることができる。


右は司会のジョン・メ一シング氏(Hiroshima Historiographers主宰)

Hiroshima Historiographersの活動を通して見えてきた、海外の専門家による頼山陽や日本史についての研究や関心の高さを紹介するとともに、外国人にその意義をどう伝える
かそして「日本外史」の再評価の必要性を考えた。

 

2020・11・15

英語で語る頼山陽と日本外史

 

11月14日、国際フェスタ(主催/公益財団法人広島平和文化センター)の一環として「英語で語る頼山陽と日本外史」がオンライン講座(1時間)として行われた。

頼山陽の生い立ちも英語で紹介された。
頼山陽の生い立ちも英語で紹介された。

ひろしま情報aネットより。写真、記事(一部)転用しました。

Hiroshima Historiographersについて

 

活動内容 日本史に詳しいアメリカ出身のジョンとロシア出身のセルゲイらで設立しました


毎週1回英語で書かれた日本史(主に江戸時代)や頼山陽についての資料を読み、英語でディスカッションします。メンバーの半数は外国人で、日本人参加者よりも遥かに日本史を勉強して知識も豊富です。頼山陽の「日本外史」は江戸時代後期のベストセラーでした。頼山陽史跡資料館は当時頼山陽が執筆していた屋敷に建てられています。

頼山陽、近代日本史に関する英語文献を収集・精読し、頼山陽の功績や近代日本史を英語で発信することにより、外国人の日本史への関心を高め、広島への訪問者を増やすことを目的としています。

目的 近代日本史(主に江戸時代)や頼山陽を英文資料で学ぶ

     国際交流ネットワーク加入団体(草の根交流・その他国際化推進)

活動日時 毎週水曜日18時~20時

活動場所 国際会議場3階研修室

会員数10人(うち広島市民8人)

入会条件 趣旨に賛同する人

会費 なし

問い合わせ先

 公益財団法人 広島平和文化センター国際交流・協力課

〒730-0811 広島市中区中島町1番5号

TEL (082)-242-8879 FAX (082) 242-7452
国際交流ネットワークひろしま 研修室予約専用電話 (082) 242-7825

internat@pcf.city.hiroshima.jp

 

2020・11・11

グリフイス記念館さん

「『外史』は圧縮と優雅の模範」

 

グリフィスはThe Mikado's Empireに『日本外史』をたくさん引用しています。頼山陽の文を圧縮と優雅の見本と表現していますから、本当に好きだったと思います。

グリフイス記念館の1階南側展示室     グリフイス記念館HPより
グリフイス記念館の1階南側展示室     グリフイス記念館HPより

また『外史』は彼の日本史観の源泉(アーネスト・サトウ経由のものですが)の一つです。この本は邦訳が後半の日本滞在記だけで、前半の日本史の部分はないのですが、当館HP「建物と展示」「ガイド資料」に最終章だけ載せています。グリフィスがどのように『外史』を読んだかおわかりいただけると思います。

 

福井市グリフイス記念館

〒910-0006 福井県福井市中央3丁目5番4号

TEL・FAX 0776-50-2911 

 

The Mikado's Empire の第三章に、以下の文章があったのを思い出しましたので、お伝えしておきます。

“『日本外史』の多くのページは圧縮と優雅の模範であり、雄弁を戒めた鮮やかな輝きは真実の明察と確信より生じ、忍耐強く事実を吟味し、発見に至るまでの困難な手探りの道を経たものである。その文章の多くが警句を成す。日本の学生たちが最も熱情的に読んだ物語である。”

彼が特筆しているのは『外史』だけなので、彼にとって特別な作品といって間違いありません。

 

 グリフィス関連の著作
 グリフィス関連の著作

2020・11・10

グリフィス関連の著作

 

グリフィス関連の著作を調べると、想像以上に出版されている。

頼山陽や『日本外史』という言葉も何カ所か出てくる。

グリフィスは横浜で出されていた英字新聞「ウィークリイメール」にも


宗教的な記事を寄稿しているから、同新聞に掲載されていた英国の外交官アーネスト・サトウの『日本外史』の訳文を読んでいた。当時の外国人社会は極めて狭く、サトウとも交流はあった。

『明治日本体験記』の解説によれば、イサカ市のコーネル大学のワッソン・コレクションには、グリフイスが所蔵していた頼山陽の『日本外史』(十二巻…原文のまま)と『日本政記』(一、二、三、八のみ)が所蔵されているという。

グリフィスの代表作『皇国』(原題は「The Mikado's Empire」)はグリフィスが帰国後の1876年出版され、グリフイスが「日本通」として知られる契機となった。

 

2020・11・9

グリフィス記念館

 

3日の講演でタック先生が「W.E.グリフィス(1843〜1928)は福井藩に招聘された」と話された。ネットで検索すると、2015年福井市に「グリフィス記念館」が開館していたことがわかった

(グリフィスは現在のボストン市立図書館の壁面に頼山陽の名を刻むことを推挙した人物)

再建されたグリフィス記念館(福井市)  グリフイス記念館HPより
再建されたグリフィス記念館(福井市)  グリフイス記念館HPより

その後、文部省に雇われ、東京南校(後の開成学校)の教師となる。日本での生活は約4年であった。

 

 

W.E.グリフィス。   『近代文学研究叢書28』(1968昭和女子大学近代文学研究室)より。下の写真も
W.E.グリフィス。   『近代文学研究叢書28』(1968昭和女子大学近代文学研究室)より。下の写真も

1870年末、開明派であった松平春嶽と契約し、福井藩校で化学や物理を教えることになったが、着任5カ月で廃藩置県となり、職を失う。

向って左がグリフィス館(当時)
向って左がグリフィス館(当時)

2020・11・8 グランマ宇津志さん「明治以降の日本の異常さ」

 

11/7付け、見延さんの記事を読んで、感じた事です。

言及される通り、改めて、明治以降の日本の異常さについて考えさせられます。

ロバート・タック氏はじめ世界の研究者と繫がることで、俯瞰的に見えてくること、利用される思想の怖さを感じます。このことは、現代社会にも通じますね。

 

ボストン市立図書館の壁面に刻まれた「RAISANYO」と「MICHIZANE」
ボストン市立図書館の壁面に刻まれた「RAISANYO」と「MICHIZANE」

直訳すれば「詩人、模範、文学政治    帝国日本の菅原道真」という意味だろうか。タック先生はこの論文で、菅原道真の評価の変遷を追い、特に明治以降、実像とは大きく変わっていく道真像について言及している。比較するのは恐縮ながら、私が『頼山陽と戦争国家』(2019)で試みたことと同じことをされている。

2020・11・7

タック先生の菅原道真論

 

11月3日のシンポジウムで、ロバート・タックアリゾナ州立大学准教授はほとんどふれられなかったが、タック先生には「 Poets, Paragons, and Literary Politics: Sugawara no Michizane in Imperial Japan」(2014)という論文がある。

明治時代に発行された五円札。       菅原道真が描かれている。
明治時代に発行された五円札。       菅原道真が描かれている。

菅原道真(845~903)は宇多天皇から重用されて右大臣まで昇りつめるが、出世を妬んだ左大臣藤原時平の讒言により大宰府に左遷されたとされる。頼山陽もこの事実を踏まえて漢詩を詠み(二首)、自分の考えを『日本政記』に記している。

私見ながら、山陽の頃までは道真の評価は客観性を備えているが、明治に入るとガラリと変わる。「天皇への忠義」という面でしか論じられなくなる。これは頼山陽の評価についても同様である。

タック先生の論文が書かれたのは2014年。私が英文で書かれたこの論文の存在を知ったのはつい1カ月ほど前である。

 

11月4日付け中国新聞より
11月4日付け中国新聞より

2020・11・5

山根兼昭さん(愛知県在住)

「インターナショナルな講演会」

 

この度のシンポジュウムは、山陽に関しては考えられないほどインターナショナルな講演会で、聴講した甲斐ががありました。


本来山陽に関しては、明治の初めには、上海や英国で「日本外史」の翻訳がなされ、明治15年、ハーバード大学による世界の文豪調査では、英国は「シェイクスピア」、ロシヤは「トルストイ」、フランスは「ビクトルユーゴ」、イタリアは「ダンテ」、さて日本は・・「頼山陽」という評価があります。

改めて、山陽に関しては戦後日本の異常さを痛感しますが、広島へ行くと頼山陽を身近に感じます。

関係者の努力が実り、頼山陽がもう一度再認識されることを願いたいですね。

 

ホームページ編集人  見延典子
ホームページ編集人  見延典子

 

「頼山陽と戦争国家

国家に「生かじり」された 

ベストセラー『日本外史』

『俳句エッセイ 日常』

 

『もう頬づえはつか      ない』ブルーレイ

 監督 東陽一

 原作 見延典子

※当ホームページではお取扱いしておりません。

 

 紀行エッセイ

 『私のルーツ

 

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