見延典子が書いています。

2025・3・4

『日本外史』は歴史小説

 

『日本外史』がどのように読まれてきたかを考える上で、ヒントになる記述を見つけた。

 昭和32年(1957)4月23日付の「内閣委員会議録第33号」で、インターネットでも読める。

 昭和23年(1948)に紀元節(日本神話を基につくられた建国日)が廃止され、国民の祝日に関する法律によって、建国をしのぶ日として「建国記念の日」と定められた。

 昭和32年(1957)4月23日は、国民の祝日に関する法律を一部改正する法律案を議題として国会で審議が行なわれている。『日本外史』に関する発言者の稲村隆一議員は、北海道出身で社会大衆党に所属。当時59歳。

読みたい方は下の赤文字をクリック P11の2段目に掲載されています。

 「内閣委員会議録第33号」


稲村隆一議員の発言
稲村隆一議員の発言

稲村隆議員の発言

「要するに、当時の歴史は歴史であるが、同時に小説なんですから。日本外史だってあれは非常にりっぱな文章であるが、一つの歴史小説です。徳川時代のでもそうである。大日本史もしかり、非常に名文ではあるけれども、ずいぶんうそが多い。一つの歴史小説なんです」

出席者
出席者

 2014・9・1

『日本外史』の読まれ方

 

私見では『日本外史』は4段階の読まれ方をしたと考える。

 

1、武士を奮い立たせた幕末前期

2、尊王論の牽引役となった幕末後期

3、政府の思想統制に利用された明治、大正、昭和20年8月15日まで

4、ほとんど見向きもされなくなった昭和20年8月15日以降